2016年1月20日 副社長のブログ
効果的なカウンセリングを受けるために
多いときで年間に約800名のカウンセリングをしていて気付いたことがあります。それは、カウンセリングを受けるには向き不向きがあるということです。
私のクライアントは、精神疾患の診断名がついて、精神科医の許可の下でカウンセリングを受けている方が3割程度です。あとの7割の方は、何らかの悩みをもつ健常者の方となります。今回のカウンセリングの向き不向きは、主に7割の健常者のクライアントについてです。
悩みと言うものは、自分がいる現実の環境・境遇と理想との間にギャップがあるところから始まります。人は、自分の置かれた環境を何とか理想に近づけようと様々な手段を考え、実行します。理想と現実の間には、いろいろな障害物が存在する訳ですが、悩みを訴えてくる方は障害物が “他者”であることが多いと感じます。あの人さえいなければ、あの人さえこうしてくれたら…という考え方です。
クライアントから話を聞いていると、確かに自分の改善すべき点もきちんと話していますし、人生の障害物となっている他人についても冷静に分析してもいます。しかし相談内容の殆どが障害物である「他人」に焦点があたっていることが実に多いのです。
ここで、カウンセリングの向き不向きの話に入ります。
障害物となる他人をコントロールしようとする人、即ち自分の意に沿うように他人を動かそうとする人は、カウンセリングを受けてもあまり効果がありません。
念のためお伝えしますが、私は他人をコントロールすることについて否定している訳ではありません。他人を自分の意の通り動かすことができるのであれば、悩みにはなりにくいでしょうし、カウンセリングを受けようとも思わないでしょう。思い通りに他人をコントロールしたいのにできないからこそ、悩みが生まれてくるのです。
いろいろなカウンセリング技法が出回っていますが、日本や欧米諸国で唯一エビデンスのある心理療法が認知行動療法です。認知行動療法をベースにカウンセリングをするカウンセラー(私もそうです)の下では、自分自身の捉え方を変える、行動を変えていくという心理教育と訓練を提供していくため、いったん障害物を横に置ける人でないと難しいのです。
また、このような訓練をしながらも、自分が変わることで相手もこう変わる筈だという思いがある限りは、本質的なところは変わっていないと言えます。つまり、他人(障害物)はどうであれ、まずは自分が変わってみると覚悟を決めることが大切です。
覚悟というと大袈裟かも知れませんが、何らかの悩みを他人のせいにしないで自分自身が変わるという決意はとても大切なのです。自分が変わると、見える景色が違ってきます。そして、次第に環境や境遇が変わり始めます。
健常者の方でカウンセリングを受けてみたいという方は、自分自身を変えていく覚悟があるのとないのとでは、カウンセリング効果に雲泥の差があることを意識すると良いと思います。つまりカウンセリングを効果的に受けたいのであれば、自分自身と向き合う覚悟とタイミングが重要だということです。
尚、この部分をきちんと忠告してくれるカウンセラーかどうか、この辺はカウンセラーを選ぶときのひとつの指標となると思います。
今年は、覚悟をもって自分自身と向き合ってみたい、変わりたいと思う方、またはどのタイミングでカウンセリングを受けたら良いか相談してみたい方は、一度ご連絡下さい。弊社のカウンセラーは、全員が臨床心理士・精神保健福祉士・産業カウンセラーのいずれかの資格を持っています。